東京高等裁判所 昭和33年(ラ)855号 決定
強制和議の提供者につき詐欺破産の公訴が繋属するときは強制和議をすることができないものであることは、破産法第二九五条の規定するところであるから、右の場合には強制和議の提供を不適法として棄却すべきものであることはいうまでもないところである。そして本件のように、強制和議の提供が一旦適法になされた後であつても、その決議前、強制和議の提供者につき詐欺破産の公訴が繋属するに至つたときは、結局強制和議をすることができないものとなることは右法条の規定するところによつて明かなところであるから、この場合は強制和議の提供は結局不適法に帰し、これを棄却しなければならないものといわなければならない。抗告人等は、右のように強制和議の提供が一旦適法になされた後、その決議前に、強制和議の提供者につき詐欺破産の公訴が繋属するに至つた場合については、法文上これを強制和議の提供を棄却すべき事由として規定していないのであるから、破産法第二九六条第三一〇条第三三三条と対比して、右の場合に強制和議の提供を当然且直に棄却すべきものとするのは不当である旨主張する。しかし抗告人等の挙示引用する法条の規定は上記と牴触するものではなく、抗告人等の主張は上記と反対の見解に立つものでこれを採用することができない。
(薄根 村木 山下)